「リカバリ要件は、”できるだけ早く”」「可用性は24時間、365日」と言われたら? データベースコンサルタントのノウハウちょい見せ

Oracle RDBMSなどのオラクル製品や各種インフラ技術(OS、ストレージ、ネットワーク)といった話題を取り上げます。著者は小田圭二、「門外不出のOracle現場ワザ」、「絵で見てわかるOracleの仕組み」、「絵で見てわかるOS/ストレージ/ネットワーク」などの著作もあります

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「リカバリ要件は、”できるだけ早く”」「可用性は24時間、365日」と言われたら?

業務アプリは、機能に関する要件(機能要件。例:「Webでこういう注文を受けられること」)が主体です。それに対して、多くの非機能要件を扱うのが、インフラです。非機能要件とは、”性能”、”対障害性”、”拡張性”などを指します。ざっくりと言うと、機能以外の要件です。非機能要件は、インフラで主に実現すべき要件とされています。

●非機能要件も決定理由を明確に

非機能要件は定性的なことが特徴です。中にはスループットやレスポンスタイムのように明確なものもありますが、”早くリカバリ”とか、”拡張性”とか、明確に定義するのが難しいものも多くあるのが特徴です

「どれくらいがデータベースリカバリの目標時間でしょうか?」と聞くと、”できるだけ早くです”とか、”どんなケースでも数分で”などの回答が多いです。「”できるだけ早く”の”できるだけ”って具体的には?」とユーザーの責任者に聞くと、”1分で”といった非現実的な数値を提示されてしまいます。そういう意味では、SIerもユーザーも具体的にせず、うまく曖昧にしているんだよなあと思います。

しかし、これが許されなくなりつつあります。少なくとも、「きちんと検討しました」とか、「こういう理由でリスクを許容します」というのは書いておくべき時代が来つつある、と思っています。ユーザー側も「きちんとレビューしたのか」が社会的に求められる時代になっています。物を作る側も「作ったものに対して説明責任が求められる」ことが増えてきました。そのため、データベースの非機能要件についても理由を明確にすることが、みなさんを守ることにもつながると私は思います。

●”24時間365日”

私は”24時間365日”という良く聞く要件も曖昧だと思っています。

製品としての可用性は高くても、業務的な停止時間が必要になることは多いです。必要以上に可用性の要件を高くして非効率になっていると私は思っています。高い品質を求めるのは日本企業の美点でもありますが、これが高いコストを発生させている原因だと思うのです。「もとから、これくらいで良いです」と割り切っていてくれれば、費用対効果が出にくい機能は不採用にしたり、必要以上のテストをしなくても良いと思うのです。ユーザー企業はシステムコストは高いと言いますが、1つの解は、”ユーザーが妥当な要件を求める(要件を下げれるところは下げる)”だと思うのですが、いかがでしょうか。「要件は高い。テストは完璧に実施しろ、トラブル時にはすぐに駆け付けろ・・・」では、コストは下がりようがないと思います。

業務によっては本当に高可用性が必要となりますが、なんでもかんでも24時間365日は、やめてはいかがでしょうか?
#アメリカのシステムなんて結構止まってますよ。

たとえば、メインフレームを止めるタイミングで、周辺のシステムを止めるのも手ですし、サーバーを設置しているビルの法令点検(電源が止まる)のときに止める手もあるでしょう。

そのデータベース(やシステム)は、本当に妥当な要件ですか? ー> 特にユーザー企業の皆さん

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拍手できるのは1回だけなのね~ :)
[ 2009/02/02 11:40 ] [ 編集 ]
小田です。

拍手は1回だけのはずです。どうやっているのか知りませんが、識別しているはずですので。

実は、結構この「拍手」を手がかりに、何が人気があるのかを確認しています。
ということで、「こんな感じの記事を次読みたい」と思ったら、ぜひ「拍手」を押してください。

ブログ初心者なもので、何がうけるのかよく理解できていないんです。はい。
[ 2009/02/02 12:27 ] [ 編集 ]
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プロフィール

Author:odakeiji
小田圭二 日本オラクルのテクノロジーソリューションコンサルティング統括本部においてデータベースのコンサルタントをしている。今までのキャリアでは、社内教育部隊で、データベースやOS、ネットワークを教える経験を5年ほど積んだり、コンサル部門で主にDB(インフラ含む)のコンサルを10年程度経験した。また、コンサルタントとして、主に大規模ミッションクリティカルシステムを担当。社内では”火消し”とも呼ばれ、システムトラブルの火消しをいくつも担当していたこともある。
ポリシーは、「OracleもOS上で動くアプリケーションにすぎない。だから、OS、ストレージ、ネットワークを学ぶべき。アーキテクチャから考えろ」。
スキル面の興味は、アーキテクチャ、DBA、インフラ技術、教育、コンサル手法など。
本ブログのポリシーは「週に1回、DBAやインフラ担当者の役に立つ記事を書きたい」です(守れるだけ、守りたい・・・・)
なお、本ブログにおいて示されている見解は、私自身の見解であって、オラクルの見解を必ずしも反映したものではありません。ご了承ください。

私の主な著書の紹介です。もしよかったら、お役立てください。他にもオライリーなどがあります

●「絵で見てわかるOS/ストレージ/ネットワーク データベースはこう使っている」小田圭二 著
私のポリシーである”DBMSもOSの動くアプリケーションに過ぎない”に基づいて、OSとDBMSの関係、ストレージとDBMSの関係、ネットワークとDBMSの関係、を解説した珍しい書籍です。DBを学んでひと段落したら、DB使いもインフラ全体を意識しなければなりませんが、そのような人にお勧めです。企業ユーザー向けのIT本としては、2008年度翔泳社No1だとか(最後は出版社談)。

●「絵で見てわかるOracleの仕組み」 小田圭二 著
教育に携わる者としての私の思い「丸暗記するな。アーキテクチャを知るべき。絵で説明すべき」を具体化した、Oracleの入門書です。Oracle初心者向きですが、Oracleの基礎となる部分の動きを解説しているため、バージョンに依存せずに何年先でも使えます。逆に、本書の内容を理解せずに、ひたすら丸暗記すると応用力が身につきません。この本を読むだけで何かできるようになるわけではありませんが、アーキテクチャを身につけて、本当の技術力を身につける第一歩として欲しいと思っています。

●「44のアンチパターンに学ぶDBシステム」 小田圭二 著
本書は、企業のDBシステムの設計/構築から運用管理、プロジェクト管理までの各フェーズにおけるトラブル(失敗)事例について、アンチパターン(べからず集)とその回避策/防止策として解説するものです。チェックリストとして使っていただいても構いません。分かっていてもアンチパターンは避けられないことも多いものです(政治とか)。そういう方には、同じ仲間は多いのだなと再認識していただくための一服の清涼剤としていただければと思います。

●「門外不出のOracle現場ワザ」 小田圭二 他 著
一番最初に出た本です。結構とがった内容を扱っています。
・パフォーマンス分析の考え方(私の担当)
・性能テストや障害テストの仕方、設計の注意点(主に私が執筆)
・コストベースオプティマイザ(10gベース)のアーキテクチャ
・コネクションプーリング
最新のOracleの内容は含んでいませんが、今でも性能の考え方やオプティマイザの考え方は使えるはずです。オプティマイザをここまで解説している本を私は知りません。

●「続・門外不出のOracle現場ワザ」 小田圭二 他 著
「続」の名前の通り、次に出た本です。ちょっと尖り過ぎたかもしれません^^; でも本当に使う内容を選んだつもりです。一流になりたい・他の人と差をつけたい人にお勧めでしょうか。
・性能の良いSQLの書き方
・文字化けの仕組み
・障害(特に性能やハング)の分析・対応方法(私が執筆)
・障害をリアルタイムに分析・対処する方法(私が執筆)
・オプティマイザの使い方ノウハウ
・アップグレードのノウハウ

●「データベース」小田圭二 他 著
私にしては堅い本です。なんせ、共同執筆者が大御所の國友義久先生です。階層型DBMS、ネットワーク型DBMS、リレーショナル型DBMS、XMLDBMS、OO(オブジェクト指向)DBMS、DBMSの持つ機能、DBMSのセキュリティ、データベースの著作権、監査、モデリング、正規化といった内容を網羅しており、深い記述は無いものの、DB技術全体を抑えるのに向いている一冊です。ある程度技術力がついたエンジニアの方が、DB全体を振り返りたい(勉強したい)というときの最初の1冊としてお勧めです。



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