DBMSは何故、手間がかかる? その2 データベースコンサルタントのノウハウちょい見せ

Oracle RDBMSなどのオラクル製品や各種インフラ技術(OS、ストレージ、ネットワーク)といった話題を取り上げます。著者は小田圭二、「門外不出のOracle現場ワザ」、「絵で見てわかるOracleの仕組み」、「絵で見てわかるOS/ストレージ/ネットワーク」などの著作もあります

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DBMSは何故、手間がかかる? その2

前回の「DBMSは何故、手間がかかるのか?」の続きです。前回を要約すると、「DB(特にRDBMS)はプログラムから独立してデータを管理することを目的としていた。だからDBMSがいろいろとDB内を管理する必要が出てきて、DBの運用は手間がかかってしまう・・・と私は思う」でした。

実は、SQLの性能が安定しないのも、性能管理に手間がかかるのも、同じ理由”プログラムからDBが独立しているからだ”と私は思います。

プログラムの場合、アルゴリズムや動作を変えるのは、プログラマのお仕事です。たとえば、なんらかのデータ長を変更するようなものも、プログラムの中に書きますし、処理アルゴリズムはプログラマの責任です。

それに対して「アルゴリズムを書かない」というのがSQLの言語としての最大の特徴だと私は思います。欲しいデータの”条件”を記述するという言語です。データをプログラムから独立させたRDBMSならではの言語です。

SQLのメリットの1つは、プログラマーが処理の制御を考えていたら、いつまで経ってもかけないような難しい処理を容易に記述することができることだと思います。

デメリットは、処理の制御を意識しなくてよいため、性能が悪いSQLを書きがち、ということと、使用アルゴリズムがDBMSに任されているため、性能変動が起こることです。

性能変動を防ぐ1つのコツは、大量データを使ってSQLの処理をさせて性能を調査し、そのSQLの実行計画で固定することだと思います。大量データで性能をクリアできるのであれば、少量データでも性能をクリアすることができます。下手に少量データで最適な実行計画を選ばせてしまうと、大量データのときに性能が出ない実行計画かもしれません。

実際に現場でみることがあるのですが、少量データで性能テストをして、その実行計画で固定してしまって、大量データの際に性能が出ず、苦しんでいることがあります。少量データではフルスキャンが比較的有利ですが、大量データではインデックスが比較的有利だからです。
#数行から数十行程度の表を考えてみてください。1ブロックに全データを格納できるため、インデックスなどを使ってアクセスする方が時間やCPUを余計に使ってしまいます。

この話から分かる通り、少量データ時点(スタート時点)で最適な実行計画をそのまま使っていれば良い・・・というものでもありません。どうしても「将来も含めて性能劣化させたくない」のであれば、将来を見越した大量データを用いたテストをして、その実行計画を使い続けるのがお勧めです。劣化を防ぐのであれば、少量データ時には多少効率が悪いかもしれない、大量データ時点での実行計画を最初から用いた方が良いという考え(割り切り)です。

もちろん、大量データを作るのは大変です。でも、プログラマがアルゴリズムを考えなくて良いSQLでは、どうしても必要な作業なのです。以前も書いたように、最適な実行計画というのは試してみるまで分からないのですから。

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[ 2008/12/08 02:02 ] DBA | TB(0) | CM(2)
これは基本中の基本だと思いますが、それより動くプログラムを納品すること優先してしまうプロジェクトが多いのもなかなか改善されていないような気がします。
関係者の意識改革は必要ですよね。
[ 2008/12/08 08:47 ] [ 編集 ]
意識改革・・・そうなんです。徹夜するか、SQLのテストの手を抜くか、の2択になってしまったりしますから、どうしても妥協してしまうんですよね。システムを悪化させないためには、「がまん」が必要なのだと思います。我々、エンジニアも楽な方向に流されがちですから。
[ 2008/12/08 13:09 ] [ 編集 ]
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プロフィール

odakeiji

Author:odakeiji
小田圭二 日本オラクルのテクノロジーソリューションコンサルティング統括本部においてデータベースのコンサルタントをしている。今までのキャリアでは、社内教育部隊で、データベースやOS、ネットワークを教える経験を5年ほど積んだり、コンサル部門で主にDB(インフラ含む)のコンサルを10年程度経験した。また、コンサルタントとして、主に大規模ミッションクリティカルシステムを担当。社内では”火消し”とも呼ばれ、システムトラブルの火消しをいくつも担当していたこともある。
ポリシーは、「OracleもOS上で動くアプリケーションにすぎない。だから、OS、ストレージ、ネットワークを学ぶべき。アーキテクチャから考えろ」。
スキル面の興味は、アーキテクチャ、DBA、インフラ技術、教育、コンサル手法など。
本ブログのポリシーは「週に1回、DBAやインフラ担当者の役に立つ記事を書きたい」です(守れるだけ、守りたい・・・・)
なお、本ブログにおいて示されている見解は、私自身の見解であって、オラクルの見解を必ずしも反映したものではありません。ご了承ください。

私の主な著書の紹介です。もしよかったら、お役立てください。他にもオライリーなどがあります

●「絵で見てわかるOS/ストレージ/ネットワーク データベースはこう使っている」小田圭二 著
私のポリシーである”DBMSもOSの動くアプリケーションに過ぎない”に基づいて、OSとDBMSの関係、ストレージとDBMSの関係、ネットワークとDBMSの関係、を解説した珍しい書籍です。DBを学んでひと段落したら、DB使いもインフラ全体を意識しなければなりませんが、そのような人にお勧めです。企業ユーザー向けのIT本としては、2008年度翔泳社No1だとか(最後は出版社談)。

●「絵で見てわかるOracleの仕組み」 小田圭二 著
教育に携わる者としての私の思い「丸暗記するな。アーキテクチャを知るべき。絵で説明すべき」を具体化した、Oracleの入門書です。Oracle初心者向きですが、Oracleの基礎となる部分の動きを解説しているため、バージョンに依存せずに何年先でも使えます。逆に、本書の内容を理解せずに、ひたすら丸暗記すると応用力が身につきません。この本を読むだけで何かできるようになるわけではありませんが、アーキテクチャを身につけて、本当の技術力を身につける第一歩として欲しいと思っています。

●「44のアンチパターンに学ぶDBシステム」 小田圭二 著
本書は、企業のDBシステムの設計/構築から運用管理、プロジェクト管理までの各フェーズにおけるトラブル(失敗)事例について、アンチパターン(べからず集)とその回避策/防止策として解説するものです。チェックリストとして使っていただいても構いません。分かっていてもアンチパターンは避けられないことも多いものです(政治とか)。そういう方には、同じ仲間は多いのだなと再認識していただくための一服の清涼剤としていただければと思います。

●「門外不出のOracle現場ワザ」 小田圭二 他 著
一番最初に出た本です。結構とがった内容を扱っています。
・パフォーマンス分析の考え方(私の担当)
・性能テストや障害テストの仕方、設計の注意点(主に私が執筆)
・コストベースオプティマイザ(10gベース)のアーキテクチャ
・コネクションプーリング
最新のOracleの内容は含んでいませんが、今でも性能の考え方やオプティマイザの考え方は使えるはずです。オプティマイザをここまで解説している本を私は知りません。

●「続・門外不出のOracle現場ワザ」 小田圭二 他 著
「続」の名前の通り、次に出た本です。ちょっと尖り過ぎたかもしれません^^; でも本当に使う内容を選んだつもりです。一流になりたい・他の人と差をつけたい人にお勧めでしょうか。
・性能の良いSQLの書き方
・文字化けの仕組み
・障害(特に性能やハング)の分析・対応方法(私が執筆)
・障害をリアルタイムに分析・対処する方法(私が執筆)
・オプティマイザの使い方ノウハウ
・アップグレードのノウハウ

●「データベース」小田圭二 他 著
私にしては堅い本です。なんせ、共同執筆者が大御所の國友義久先生です。階層型DBMS、ネットワーク型DBMS、リレーショナル型DBMS、XMLDBMS、OO(オブジェクト指向)DBMS、DBMSの持つ機能、DBMSのセキュリティ、データベースの著作権、監査、モデリング、正規化といった内容を網羅しており、深い記述は無いものの、DB技術全体を抑えるのに向いている一冊です。ある程度技術力がついたエンジニアの方が、DB全体を振り返りたい(勉強したい)というときの最初の1冊としてお勧めです。



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