DBMSは何故、手間がかかるのか? データベースコンサルタントのノウハウちょい見せ

Oracle RDBMSなどのオラクル製品や各種インフラ技術(OS、ストレージ、ネットワーク)といった話題を取り上げます。著者は小田圭二、「門外不出のOracle現場ワザ」、「絵で見てわかるOracleの仕組み」、「絵で見てわかるOS/ストレージ/ネットワーク」などの著作もあります

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DBMSは何故、手間がかかるのか?

最近、DBMSの標準化(パラメータや物理設計の指針を決めて、品質を向上する活動のこと)を検討している際、「なぜ、APサーバーの標準化とDBサーバーの標準化は性格が違うの? なぜDBMSは手間がかかるの?」と聞かれました。その方は、DBMSもAPサーバーもミドルウェアなのだから、APサーバーとDBMSは同じようなものだと思ったようです。さて、皆さんならどう答えますか?

何人かの答えを総合すると、「APサーバーで品質をあげたい(≒トラブルを防止したい)場合は、その上で動くアプリケーションプログラムの品質を上げた方が効果的。APサーバーは運用で行うことは少ないため、稼働後、落ち着いたら手間はかからない。それに対してDBサーバーは設定できることやコマンドが多く、大変だから」という答えが多かったです。なぜ、このような違いが生まれるのでしょうか?

異論はあるかと思いますが、「DBMSはプログラマの管理から独立しているから」というのが私なりの答えです。

ちょっと遠回りして、考えてみたいと思います。C言語では動的にメモリを確保したら、解放することまで含めてプログラムの責任でした。解放ミスがどうしても発生するため、メモリリークが絶えませんでした。そんな中、Javaのガーベジコレクションは画期的でした。プログラマが書かなくても自動的に解放してくれるのです(※)。ただし、その代り、Java VMのチューニングという設定が増えてしまいました。これは、「プログラマが楽をする⇒その代わりの機能が必要となる。また、その機能を制御するための設定が必要となる」ということを意味していると思います。
※:参照の種類の細かい話は割愛します。

元々、DBはデータをプログラムから独立させることが目的でした。当然、プログラムが制御できない箇所が山のように出てきます。データを独立させた以上、DBMSが管理するしかありません。そのため、柔軟に管理できるようにするには、DBMSの機能と設定を豊富にするしかない!・・ということになります。

つまり、上述の「DBMSはプログラマの管理から独立しているから」の背景には、「データをプログラムから独立させたから」という事情がある、という私の見解です。

納得いかない方は、オブジェクト指向DBMS(OODBMS)をイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。OODBMSでは、オブジェクトをDBに直接格納するため、プログラムがデータを制御しやすいと言えます。しかし、オブジェクト指向DBMSは基本的にプログラム言語依存です。SQLを持つRDBMSほどプログラムからデータが独立できていないと言えると私は思います。

プログラマの管理から独立しているから、「DBMSは手間がかかる」と思うのですが、いかがでしょうか? 「だからDBMSの運用にコスト(or 人手)がかかることを予め予定しておいてね」と言いたいのです。はい。

良い面もあります。APの標準化(含む「フレームワークを1つにする」)は、パッケージソフトなどのことを考えると、難しいです(パッケージソフトのソースコードは当然いじれませんから)。それに比べると、APから可能な限り独立しているDBMSの標準化はインフラチーム主導で実施する余地があって、設定や設計項目も多いため、DBMSの標準化は効果的です!

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[ 2008/12/04 02:15 ] DBA | TB(0) | CM(0)
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プロフィール

odakeiji

Author:odakeiji
小田圭二 日本オラクルのテクノロジーソリューションコンサルティング統括本部においてデータベースのコンサルタントをしている。今までのキャリアでは、社内教育部隊で、データベースやOS、ネットワークを教える経験を5年ほど積んだり、コンサル部門で主にDB(インフラ含む)のコンサルを10年程度経験した。また、コンサルタントとして、主に大規模ミッションクリティカルシステムを担当。社内では”火消し”とも呼ばれ、システムトラブルの火消しをいくつも担当していたこともある。
ポリシーは、「OracleもOS上で動くアプリケーションにすぎない。だから、OS、ストレージ、ネットワークを学ぶべき。アーキテクチャから考えろ」。
スキル面の興味は、アーキテクチャ、DBA、インフラ技術、教育、コンサル手法など。
本ブログのポリシーは「週に1回、DBAやインフラ担当者の役に立つ記事を書きたい」です(守れるだけ、守りたい・・・・)
なお、本ブログにおいて示されている見解は、私自身の見解であって、オラクルの見解を必ずしも反映したものではありません。ご了承ください。

私の主な著書の紹介です。もしよかったら、お役立てください。他にもオライリーなどがあります

●「絵で見てわかるOS/ストレージ/ネットワーク データベースはこう使っている」小田圭二 著
私のポリシーである”DBMSもOSの動くアプリケーションに過ぎない”に基づいて、OSとDBMSの関係、ストレージとDBMSの関係、ネットワークとDBMSの関係、を解説した珍しい書籍です。DBを学んでひと段落したら、DB使いもインフラ全体を意識しなければなりませんが、そのような人にお勧めです。企業ユーザー向けのIT本としては、2008年度翔泳社No1だとか(最後は出版社談)。

●「絵で見てわかるOracleの仕組み」 小田圭二 著
教育に携わる者としての私の思い「丸暗記するな。アーキテクチャを知るべき。絵で説明すべき」を具体化した、Oracleの入門書です。Oracle初心者向きですが、Oracleの基礎となる部分の動きを解説しているため、バージョンに依存せずに何年先でも使えます。逆に、本書の内容を理解せずに、ひたすら丸暗記すると応用力が身につきません。この本を読むだけで何かできるようになるわけではありませんが、アーキテクチャを身につけて、本当の技術力を身につける第一歩として欲しいと思っています。

●「44のアンチパターンに学ぶDBシステム」 小田圭二 著
本書は、企業のDBシステムの設計/構築から運用管理、プロジェクト管理までの各フェーズにおけるトラブル(失敗)事例について、アンチパターン(べからず集)とその回避策/防止策として解説するものです。チェックリストとして使っていただいても構いません。分かっていてもアンチパターンは避けられないことも多いものです(政治とか)。そういう方には、同じ仲間は多いのだなと再認識していただくための一服の清涼剤としていただければと思います。

●「門外不出のOracle現場ワザ」 小田圭二 他 著
一番最初に出た本です。結構とがった内容を扱っています。
・パフォーマンス分析の考え方(私の担当)
・性能テストや障害テストの仕方、設計の注意点(主に私が執筆)
・コストベースオプティマイザ(10gベース)のアーキテクチャ
・コネクションプーリング
最新のOracleの内容は含んでいませんが、今でも性能の考え方やオプティマイザの考え方は使えるはずです。オプティマイザをここまで解説している本を私は知りません。

●「続・門外不出のOracle現場ワザ」 小田圭二 他 著
「続」の名前の通り、次に出た本です。ちょっと尖り過ぎたかもしれません^^; でも本当に使う内容を選んだつもりです。一流になりたい・他の人と差をつけたい人にお勧めでしょうか。
・性能の良いSQLの書き方
・文字化けの仕組み
・障害(特に性能やハング)の分析・対応方法(私が執筆)
・障害をリアルタイムに分析・対処する方法(私が執筆)
・オプティマイザの使い方ノウハウ
・アップグレードのノウハウ

●「データベース」小田圭二 他 著
私にしては堅い本です。なんせ、共同執筆者が大御所の國友義久先生です。階層型DBMS、ネットワーク型DBMS、リレーショナル型DBMS、XMLDBMS、OO(オブジェクト指向)DBMS、DBMSの持つ機能、DBMSのセキュリティ、データベースの著作権、監査、モデリング、正規化といった内容を網羅しており、深い記述は無いものの、DB技術全体を抑えるのに向いている一冊です。ある程度技術力がついたエンジニアの方が、DB全体を振り返りたい(勉強したい)というときの最初の1冊としてお勧めです。



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