横串DBA(前編) データベースコンサルタントのノウハウちょい見せ

Oracle RDBMSなどのオラクル製品や各種インフラ技術(OS、ストレージ、ネットワーク)といった話題を取り上げます。著者は小田圭二、「門外不出のOracle現場ワザ」、「絵で見てわかるOracleの仕組み」、「絵で見てわかるOS/ストレージ/ネットワーク」などの著作もあります

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横串DBA(前編)

今回は、DB管理者の組織論(というほど大げさではありませんが)です。

インフラのメンバーは、プロジェクト毎に振り分けて配置するのが良いか、それとも横串の組織を作って、そこに集中配置するのが良いか、意見が分かれるところですよね。

私も、いろいろな会社で、「ある年は、プロジェクト毎に配置。翌年は品質強化のため、インフラ関係者を集めて配置。その翌年はマトリックス組織。そしてまたプロジェクト毎に戻る」みたいな綱引きを見てきました。

いろいろ見た感想だと、正解は無いのだと思います。プロジェクト単位に組織を固めたいという意見はわかりますし、柔軟に対応するためにプールしたい(集めたい)というのもよくわかります。

でも、すくなくともノウハウや標準に関しては、横串チームがお勧めです。特にデータベースでは横串DBAがお勧めです。

ここで、DBAを2つに分けて考えます。1つはモデリングを行うDBAです。この記事ではDA(Data Analyst もしくは Data Administrator)と名前を呼ぶことにします。このDAは、システムをまたがってデータを管理するのが望ましいのです。データは放っておけば、同じデータが重複して持つように、システムが乱立していきます。データの重複は、マスターの存在をあいまいにし、データのメンテナンスや活用を困難にします。そのため、情シス部門であっても、横串のDAを持つべきです。「SIerが詳細のERモデリングを行うから、情シス部門にはDAは不要」という考えもあるかと思いますが、それをやると、個別発注が非効率を生んだり(個別発注するとデータの重複が発生)、SIerにデータ定義を握られてしまい、にっちもさっちもいかなくなります(※)。概念データモデルという一番粗い(そしてビジネスに一番近い)レベルで構わないので把握しておくべきです。

※:データ定義はユーザー側も掌握する(握っておく)べきだと痛切に思います。データを人質にとられた現場をいくつか知っていますが、ユーザー側はつらいです。

次は、インフラのDBAです。DataBase Administratorです。ここではDBAと呼ぶことにします。このDBAもシステムをまたがってDBを管理するのが効率的です。なぜなら、DBを管理するスキルはとても高いからです。トラブルシューティングを満足に行えるレベルのDBAはそうそう雇うことはできません。しかし、重要システムでは、トラブルが起きたら即座に対処してもらいたいものです。また、レビュー役としてもそういう達人DBAは貴重です。各システムに熟練のDBAを雇えれば問題ありませんが、大抵そうは行きません。また、1つのシステムのDBA業務だけでは運用フェーズに入ると、仕事が少ないのが現実です。そこで、複数のシステムを横串で見るDBA部隊(その中には、エキスパートが少数、これからエキスパートというメンバーが多数)が望ましいということになります。これならスキルアップもできますし、技術やシステム情報の継承もできます。

また、SOXやISMSなどで行う業務分掌の結果、「開発者がDBサーバーのデータに触ってはいけない」となっている場合は、DBAが作業することになるため、その場合も、きちんとしたDBA部隊の設立が望ましいです。

次回は、横串DBAのメリットとデメリットを考えてみます。
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[ 2008/11/06 13:15 ] DBA | TB(0) | CM(1)
>データ定義はユーザー側も掌握する(握っておく)べきだと痛切に
>思います。
>データを人質にとられた現場をいくつか知っていますが、
>ユーザー側はつらいです。
同感です。

オラクルではないですがこのような状況の案件に関わった事があります。
そのユーザーさんでは、データ定義どころかデータも人質で、私がデータ不整合を指摘しても「Sierが大丈夫だと言っている」の一点張り。いかにデータがダメダメな状態なのかを調べ、ユーザー側に現状認識してもらうまでの労力の対価をSierに請求したいくらいの状況だったことを思い出しました。
[ 2008/11/06 18:16 ] [ 編集 ]
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プロフィール

odakeiji

Author:odakeiji
小田圭二 日本オラクルのテクノロジーソリューションコンサルティング統括本部においてデータベースのコンサルタントをしている。今までのキャリアでは、社内教育部隊で、データベースやOS、ネットワークを教える経験を5年ほど積んだり、コンサル部門で主にDB(インフラ含む)のコンサルを10年程度経験した。また、コンサルタントとして、主に大規模ミッションクリティカルシステムを担当。社内では”火消し”とも呼ばれ、システムトラブルの火消しをいくつも担当していたこともある。
ポリシーは、「OracleもOS上で動くアプリケーションにすぎない。だから、OS、ストレージ、ネットワークを学ぶべき。アーキテクチャから考えろ」。
スキル面の興味は、アーキテクチャ、DBA、インフラ技術、教育、コンサル手法など。
本ブログのポリシーは「週に1回、DBAやインフラ担当者の役に立つ記事を書きたい」です(守れるだけ、守りたい・・・・)
なお、本ブログにおいて示されている見解は、私自身の見解であって、オラクルの見解を必ずしも反映したものではありません。ご了承ください。

私の主な著書の紹介です。もしよかったら、お役立てください。他にもオライリーなどがあります

●「絵で見てわかるOS/ストレージ/ネットワーク データベースはこう使っている」小田圭二 著
私のポリシーである”DBMSもOSの動くアプリケーションに過ぎない”に基づいて、OSとDBMSの関係、ストレージとDBMSの関係、ネットワークとDBMSの関係、を解説した珍しい書籍です。DBを学んでひと段落したら、DB使いもインフラ全体を意識しなければなりませんが、そのような人にお勧めです。企業ユーザー向けのIT本としては、2008年度翔泳社No1だとか(最後は出版社談)。

●「絵で見てわかるOracleの仕組み」 小田圭二 著
教育に携わる者としての私の思い「丸暗記するな。アーキテクチャを知るべき。絵で説明すべき」を具体化した、Oracleの入門書です。Oracle初心者向きですが、Oracleの基礎となる部分の動きを解説しているため、バージョンに依存せずに何年先でも使えます。逆に、本書の内容を理解せずに、ひたすら丸暗記すると応用力が身につきません。この本を読むだけで何かできるようになるわけではありませんが、アーキテクチャを身につけて、本当の技術力を身につける第一歩として欲しいと思っています。

●「44のアンチパターンに学ぶDBシステム」 小田圭二 著
本書は、企業のDBシステムの設計/構築から運用管理、プロジェクト管理までの各フェーズにおけるトラブル(失敗)事例について、アンチパターン(べからず集)とその回避策/防止策として解説するものです。チェックリストとして使っていただいても構いません。分かっていてもアンチパターンは避けられないことも多いものです(政治とか)。そういう方には、同じ仲間は多いのだなと再認識していただくための一服の清涼剤としていただければと思います。

●「門外不出のOracle現場ワザ」 小田圭二 他 著
一番最初に出た本です。結構とがった内容を扱っています。
・パフォーマンス分析の考え方(私の担当)
・性能テストや障害テストの仕方、設計の注意点(主に私が執筆)
・コストベースオプティマイザ(10gベース)のアーキテクチャ
・コネクションプーリング
最新のOracleの内容は含んでいませんが、今でも性能の考え方やオプティマイザの考え方は使えるはずです。オプティマイザをここまで解説している本を私は知りません。

●「続・門外不出のOracle現場ワザ」 小田圭二 他 著
「続」の名前の通り、次に出た本です。ちょっと尖り過ぎたかもしれません^^; でも本当に使う内容を選んだつもりです。一流になりたい・他の人と差をつけたい人にお勧めでしょうか。
・性能の良いSQLの書き方
・文字化けの仕組み
・障害(特に性能やハング)の分析・対応方法(私が執筆)
・障害をリアルタイムに分析・対処する方法(私が執筆)
・オプティマイザの使い方ノウハウ
・アップグレードのノウハウ

●「データベース」小田圭二 他 著
私にしては堅い本です。なんせ、共同執筆者が大御所の國友義久先生です。階層型DBMS、ネットワーク型DBMS、リレーショナル型DBMS、XMLDBMS、OO(オブジェクト指向)DBMS、DBMSの持つ機能、DBMSのセキュリティ、データベースの著作権、監査、モデリング、正規化といった内容を網羅しており、深い記述は無いものの、DB技術全体を抑えるのに向いている一冊です。ある程度技術力がついたエンジニアの方が、DB全体を振り返りたい(勉強したい)というときの最初の1冊としてお勧めです。



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