トラブルシューティングのコツ その2 データベースコンサルタントのノウハウちょい見せ

Oracle RDBMSなどのオラクル製品や各種インフラ技術(OS、ストレージ、ネットワーク)といった話題を取り上げます。著者は小田圭二、「門外不出のOracle現場ワザ」、「絵で見てわかるOracleの仕組み」、「絵で見てわかるOS/ストレージ/ネットワーク」などの著作もあります

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トラブルシューティングのコツ その2

今回のテーマは「信頼される火消し」です。

外部からの飛び入り火消しという想定で話をします。
自プロジェクト以外で大トラブルが起きてしまい、
急に声がかかったという想定です。
ただでさえ難しいトラブル対応に、部外者というハンディが
ついている状況です。「何しにきたの?」という目線や
「事情も知らないくせに、言いたいことを言うんだろ?」という
言外のメッセージが痛い状況です。

アプリケーションについては、作成したベンダーしか
手が出せませんが、インフラは違います。インフラに関する
知識があれば、外部の人間でも火消しとして活躍する余地はあります。

私はインフラの火消しに求められる姿勢(とコツ)は、次のとおりだと思っています。
・情報提供から入ること
・進んでいるという感覚を持たせること
・仕切れること(課題を整理できること)
・選択肢をいくつか提示し、選んでもらうこと

外部から駆けつけて、まず行うべきは「情報をできるだけ集めること」
ではありません。まずは可能な範囲での信頼を得ること、および、
「こいつはできそうだ」という評価を得ることです。

関係者がかけずり回っている中、「情報をくれくれ」と言っても
迷惑になるだけです。それよりは、すでに現場に存在するデータや
状況証拠から「XXXという事象が起きているので、原因はXXかXXのはずです」
とか、「XXXというデータがあるので、XXXXが疑われます」という形で
すでにトラブルシューティングしている人に協力すべきです。
私は、この情報提供による協力を拒否されたことがありません。
情報を提供されることについては、人はリスクを感じないからでしょう。
機会があったらやってみてください。

次は、「進んでいるという感覚を持たせること」です。
トラブルの現場は、混乱し、紛糾しているものです。そんな中、
全体像を描き、「これは終わった、次はこれをやればいい」とか
「この可能性は無くなった」といったように話を進められる人は
救いの神様に見えます。筆者は昔、
「この製品はこういうアーキテクチャなので、このデータ(グラフ)の形と、
このデータを合わせると、こういうように現象のつじつまが合いますよ」と
情報提供をしたところ、担当者の顔がぱっと明るくなり、「なるほど、
なぞが1つ解けました!」となったことがあります。
このように「進んでいるという感覚を持たせる」と、信頼を得ることができます。

次は、「仕切れること(課題を整理できること)」です。
ある程度、信頼を得たあとは、全体としてトラブルシューティングを
進められるかという壁にぶつかります。たとえば、インフラのトラブルで
あってもアプリ部隊の協力が必要なケースは多くあります。
むだにミーティングを繰り返してもらちはあきません。
「全体像はこうだ。だからXXさんがこれを調査して、XXさんがこれを調査する。
1時間後に全員集合。解散!」と、このように仕切ってしまいましょう。
なお、課題が複数ある場合は、全ての課題が進むように整理してあげましょう。
あとになって「やばい。XXという課題を忘れてた!」という事態を防ぐためです。

最後は、「選択肢をいくつか提示し、選んでもらうこと」です。
めでたく原因がわかり、対策をうつことになったとします。
もしくは、原因がわからないけれども、暫定策をうつことになった
とします。その場合に必要なのは、メリットだけではなく、リスクも含めて、
いくつか案をユーザーに提示して選んでもらうことだと思います。
これはユーザーの立場に立つと、「ベストを尽くした。自分たちで
コントロールした」ということになりますし、ベンダーの立場に
立つと、「きちんと説明した上で、関係者の合意の上で進めた」という
枠組みを作ることでもあります。
つまり、両者のアカウンタビリティ(説明責任)を満たすことになります。
皆さん(関係者)の身を守ることにもつながります。

トラブル時には、役職といった上下関係はゆらぎます。
そして、実力勝負になります。つまり、若手でも
実力があれば、意見も通りますし、活躍することもできます。


若手だけれども、大きな仕事をしたいという人は
火消しを目指してみるのもいいかもしれません。
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[ 2008/08/05 21:02 ] DBA | TB(0) | CM(0)
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プロフィール

odakeiji

Author:odakeiji
小田圭二 日本オラクルのテクノロジーソリューションコンサルティング統括本部においてデータベースのコンサルタントをしている。今までのキャリアでは、社内教育部隊で、データベースやOS、ネットワークを教える経験を5年ほど積んだり、コンサル部門で主にDB(インフラ含む)のコンサルを10年程度経験した。また、コンサルタントとして、主に大規模ミッションクリティカルシステムを担当。社内では”火消し”とも呼ばれ、システムトラブルの火消しをいくつも担当していたこともある。
ポリシーは、「OracleもOS上で動くアプリケーションにすぎない。だから、OS、ストレージ、ネットワークを学ぶべき。アーキテクチャから考えろ」。
スキル面の興味は、アーキテクチャ、DBA、インフラ技術、教育、コンサル手法など。
本ブログのポリシーは「週に1回、DBAやインフラ担当者の役に立つ記事を書きたい」です(守れるだけ、守りたい・・・・)
なお、本ブログにおいて示されている見解は、私自身の見解であって、オラクルの見解を必ずしも反映したものではありません。ご了承ください。

私の主な著書の紹介です。もしよかったら、お役立てください。他にもオライリーなどがあります

●「絵で見てわかるOS/ストレージ/ネットワーク データベースはこう使っている」小田圭二 著
私のポリシーである”DBMSもOSの動くアプリケーションに過ぎない”に基づいて、OSとDBMSの関係、ストレージとDBMSの関係、ネットワークとDBMSの関係、を解説した珍しい書籍です。DBを学んでひと段落したら、DB使いもインフラ全体を意識しなければなりませんが、そのような人にお勧めです。企業ユーザー向けのIT本としては、2008年度翔泳社No1だとか(最後は出版社談)。

●「絵で見てわかるOracleの仕組み」 小田圭二 著
教育に携わる者としての私の思い「丸暗記するな。アーキテクチャを知るべき。絵で説明すべき」を具体化した、Oracleの入門書です。Oracle初心者向きですが、Oracleの基礎となる部分の動きを解説しているため、バージョンに依存せずに何年先でも使えます。逆に、本書の内容を理解せずに、ひたすら丸暗記すると応用力が身につきません。この本を読むだけで何かできるようになるわけではありませんが、アーキテクチャを身につけて、本当の技術力を身につける第一歩として欲しいと思っています。

●「44のアンチパターンに学ぶDBシステム」 小田圭二 著
本書は、企業のDBシステムの設計/構築から運用管理、プロジェクト管理までの各フェーズにおけるトラブル(失敗)事例について、アンチパターン(べからず集)とその回避策/防止策として解説するものです。チェックリストとして使っていただいても構いません。分かっていてもアンチパターンは避けられないことも多いものです(政治とか)。そういう方には、同じ仲間は多いのだなと再認識していただくための一服の清涼剤としていただければと思います。

●「門外不出のOracle現場ワザ」 小田圭二 他 著
一番最初に出た本です。結構とがった内容を扱っています。
・パフォーマンス分析の考え方(私の担当)
・性能テストや障害テストの仕方、設計の注意点(主に私が執筆)
・コストベースオプティマイザ(10gベース)のアーキテクチャ
・コネクションプーリング
最新のOracleの内容は含んでいませんが、今でも性能の考え方やオプティマイザの考え方は使えるはずです。オプティマイザをここまで解説している本を私は知りません。

●「続・門外不出のOracle現場ワザ」 小田圭二 他 著
「続」の名前の通り、次に出た本です。ちょっと尖り過ぎたかもしれません^^; でも本当に使う内容を選んだつもりです。一流になりたい・他の人と差をつけたい人にお勧めでしょうか。
・性能の良いSQLの書き方
・文字化けの仕組み
・障害(特に性能やハング)の分析・対応方法(私が執筆)
・障害をリアルタイムに分析・対処する方法(私が執筆)
・オプティマイザの使い方ノウハウ
・アップグレードのノウハウ

●「データベース」小田圭二 他 著
私にしては堅い本です。なんせ、共同執筆者が大御所の國友義久先生です。階層型DBMS、ネットワーク型DBMS、リレーショナル型DBMS、XMLDBMS、OO(オブジェクト指向)DBMS、DBMSの持つ機能、DBMSのセキュリティ、データベースの著作権、監査、モデリング、正規化といった内容を網羅しており、深い記述は無いものの、DB技術全体を抑えるのに向いている一冊です。ある程度技術力がついたエンジニアの方が、DB全体を振り返りたい(勉強したい)というときの最初の1冊としてお勧めです。