統計情報の履歴やロックなど データベースコンサルタントのノウハウちょい見せ

Oracle RDBMSなどのオラクル製品や各種インフラ技術(OS、ストレージ、ネットワーク)といった話題を取り上げます。著者は小田圭二、「門外不出のOracle現場ワザ」、「絵で見てわかるOracleの仕組み」、「絵で見てわかるOS/ストレージ/ネットワーク」などの著作もあります

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統計情報の履歴やロックなど

今回から数回にわたって、統計情報に関するノウハウを少しご紹介します。
まず初回は元の実行計画に戻すTIPSと実行計画を変動させないTIPSです。

●統計情報履歴

まずは、統計情報の履歴です。これは便利です。
10g以降において、SQLの実行計画が悪化した場合、まずは過去の統計情報を戻すことを考えてみてください。Oracleが自動的に過去の統計情報を約1ヶ月保持しているはずです。今日の朝からSQLの性能が悪化したのであれば、昨日の統計に戻してみると改善するかもしれません。

例:
SELECT * FROM DBA_TAB_STATS_HISTORY WHERE TABLE_NAME='TEST_FOR_STATS';

SYSTEM TEST_FOR_STATS

08-10-09 22:55:38.859000 +09:00

SYSTEM TEST_FOR_STATS

08-10-09 22:57:48.906000 +09:00

このように統計情報がバージョン管理されています。
注:analyzeでは過去統計情報が残らないため注意してください。

統計を過去に戻す方法ですが、次のように行います。

例:
exec DBMS_STATS.RESTORE_TABLE_STATS(ownname=>'SYSTEM',tabname=>'TEST_FOR_STATS',as_of_timestamp=>'08-10-09 22:56:38.859000');

なお、DBMS_STATS.RESTORE_DATABASE_STATS で、データベース全体が、
DBMS_STATS.RESTORE_SCHEMA_STATS で、スキーマ全体が戻ります。

ここら辺のプロシージャの詳細は、PL/SQL パッケージ・プロシージャマニュアルをご覧ください。日本オラクルのOTNからマニュアルは無料でダウンロードできます。

なお、9i以前のOracleの場合、DBMS_STATSで手動でバックアップをとることができます。

●統計情報のロック

次は、統計情報のロックです。性能を変えたくない場合、ロックすることで統計が変わらないようにできます。これにより実行計画はほぼ固定となります。

DBMS_STATSのLOCK_SCHEMA_STATS や LOCK_TABLE_STATS、
UNLOCK_SCHEMA_STATS や UNLOCK_TABLE_STATSを用います。

例:
EXECUTE DBMS_STATS.LOCK_TABLE_STATS ('SYSTEM', 'TEST_FOR_STATS');

注意点は、データが少ないときに固定してしまうと、Oracleはフルスキャンを選びやすいという点があげられます。つまり、データが多くなってもフルスキャンのままになって性能がどんどん劣化する場合もありえます。

●ヒストグラム(分布に関する情報)

10g以降において、統計情報の収集では、ヒストグラムも収集されえるようになりました(デフォルト値)。ヒストグラムも、実行計画が変わる要素です。9iまでと同様に取らないというのも手です。

DBMS_STATSの METHOD_OPT というパラメータがあり、これがデフォルトで'FOR ALL COLUMNS SIZE AUTO'となっています。この場合、ヒストグラムをとってしまうことがあります。

ただし、DWHなどでは、ヒストグラムがあるからこそ速くなるケースもあるため、きちんと検討した上で止めてください。OLTP系ではヒストグラムはあまり必要ないかもしれません。

● バインドピークの停止

実は、Oracleは9i以降、バインド変数の中をピーク(peek:のぞく)して、実行計画を立てる参考にしています。これが実行計画を変動させることがあります。この機能は目的があって導入されているので、いちがいに止める必要はありませんが、実行計画を変動させたくない場合には、これの停止も検討してよいでしょう。

個人的に止め方を書くことはできないので、Oracleのサポートやインターネットで検索して止め方を調べてみてください。「バインドピーク 無効」といったキーワードで出てくるはずです。

●そのほか

なお、実行計画はキャッシュされることもあるため、alter system flush shared_pool などでメモリ上のキャッシュをクリアすることも、必要に応じて実行してください。
また、統計を取得していない場合、Oracleはメモリ上に一時的な統計情報を置く(ダイナミックサンプリング)ことがあります。これも実行計画を変動させます。alter system flush shared_pool でこれも消すことができます。

今回紹介したノウハウを使いこなせば、実行計画はだいたい安定するのではないでしょうか? まだまだ統計情報のノウハウは続きます。
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[ 2008/10/09 23:44 ] DBA | TB(0) | CM(0)
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プロフィール

odakeiji

Author:odakeiji
小田圭二 日本オラクルのテクノロジーソリューションコンサルティング統括本部においてデータベースのコンサルタントをしている。今までのキャリアでは、社内教育部隊で、データベースやOS、ネットワークを教える経験を5年ほど積んだり、コンサル部門で主にDB(インフラ含む)のコンサルを10年程度経験した。また、コンサルタントとして、主に大規模ミッションクリティカルシステムを担当。社内では”火消し”とも呼ばれ、システムトラブルの火消しをいくつも担当していたこともある。
ポリシーは、「OracleもOS上で動くアプリケーションにすぎない。だから、OS、ストレージ、ネットワークを学ぶべき。アーキテクチャから考えろ」。
スキル面の興味は、アーキテクチャ、DBA、インフラ技術、教育、コンサル手法など。
本ブログのポリシーは「週に1回、DBAやインフラ担当者の役に立つ記事を書きたい」です(守れるだけ、守りたい・・・・)
なお、本ブログにおいて示されている見解は、私自身の見解であって、オラクルの見解を必ずしも反映したものではありません。ご了承ください。

私の主な著書の紹介です。もしよかったら、お役立てください。他にもオライリーなどがあります

●「絵で見てわかるOS/ストレージ/ネットワーク データベースはこう使っている」小田圭二 著
私のポリシーである”DBMSもOSの動くアプリケーションに過ぎない”に基づいて、OSとDBMSの関係、ストレージとDBMSの関係、ネットワークとDBMSの関係、を解説した珍しい書籍です。DBを学んでひと段落したら、DB使いもインフラ全体を意識しなければなりませんが、そのような人にお勧めです。企業ユーザー向けのIT本としては、2008年度翔泳社No1だとか(最後は出版社談)。

●「絵で見てわかるOracleの仕組み」 小田圭二 著
教育に携わる者としての私の思い「丸暗記するな。アーキテクチャを知るべき。絵で説明すべき」を具体化した、Oracleの入門書です。Oracle初心者向きですが、Oracleの基礎となる部分の動きを解説しているため、バージョンに依存せずに何年先でも使えます。逆に、本書の内容を理解せずに、ひたすら丸暗記すると応用力が身につきません。この本を読むだけで何かできるようになるわけではありませんが、アーキテクチャを身につけて、本当の技術力を身につける第一歩として欲しいと思っています。

●「44のアンチパターンに学ぶDBシステム」 小田圭二 著
本書は、企業のDBシステムの設計/構築から運用管理、プロジェクト管理までの各フェーズにおけるトラブル(失敗)事例について、アンチパターン(べからず集)とその回避策/防止策として解説するものです。チェックリストとして使っていただいても構いません。分かっていてもアンチパターンは避けられないことも多いものです(政治とか)。そういう方には、同じ仲間は多いのだなと再認識していただくための一服の清涼剤としていただければと思います。

●「門外不出のOracle現場ワザ」 小田圭二 他 著
一番最初に出た本です。結構とがった内容を扱っています。
・パフォーマンス分析の考え方(私の担当)
・性能テストや障害テストの仕方、設計の注意点(主に私が執筆)
・コストベースオプティマイザ(10gベース)のアーキテクチャ
・コネクションプーリング
最新のOracleの内容は含んでいませんが、今でも性能の考え方やオプティマイザの考え方は使えるはずです。オプティマイザをここまで解説している本を私は知りません。

●「続・門外不出のOracle現場ワザ」 小田圭二 他 著
「続」の名前の通り、次に出た本です。ちょっと尖り過ぎたかもしれません^^; でも本当に使う内容を選んだつもりです。一流になりたい・他の人と差をつけたい人にお勧めでしょうか。
・性能の良いSQLの書き方
・文字化けの仕組み
・障害(特に性能やハング)の分析・対応方法(私が執筆)
・障害をリアルタイムに分析・対処する方法(私が執筆)
・オプティマイザの使い方ノウハウ
・アップグレードのノウハウ

●「データベース」小田圭二 他 著
私にしては堅い本です。なんせ、共同執筆者が大御所の國友義久先生です。階層型DBMS、ネットワーク型DBMS、リレーショナル型DBMS、XMLDBMS、OO(オブジェクト指向)DBMS、DBMSの持つ機能、DBMSのセキュリティ、データベースの著作権、監査、モデリング、正規化といった内容を網羅しており、深い記述は無いものの、DB技術全体を抑えるのに向いている一冊です。ある程度技術力がついたエンジニアの方が、DB全体を振り返りたい(勉強したい)というときの最初の1冊としてお勧めです。



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